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巻頭言

脂質研究の新しい流れ

清水孝雄

The Lipid Vol.26 No.3, 1, 2015

脂質は炭水化物を中心とした一連の化合物で,その多くは水に溶けにくい.また,遺伝情報に直接コードされておらず,蛋白のように類推は不可能であり,また,代謝的,化学的に不安定である.したがって,その解析には注意深い脂質生化学の技術が必要である.従来の分子生物学や生理学などは基本的には水溶性の分子を対象に進んできたため,解析は大幅に遅れており,アーチファクトをみたような再現の難しい論文も数多くある.しかし,わが国では多くの先人が脂質研究を,特に物質化学を重視する方向で進め,先駆的業績をあげ,その末裔らにより,化学に裏打ちされた生物研究が大きく発展している.2015年2月に東京でPLM2015(第6回Phospholipase A2 and Lipid Mediator国際会議)が開催され(東京都医学総合研究所 村上 誠会長),世界中の脂質研究者が一同に介したが,わが国の脂質研究者の水準の高さが十分に示されたように思う.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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