症例検討 脂質代謝異常症への多角的アプローチ
ホモ接合体性家族性高コレステロール血症(FH)の遺伝子型と表現型―特にPCSK9 E32KによるFHについて―
掲載誌
The Lipid
Vol.26 No.2 93-100,
2015
著者名
馬渕宏
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野原淳
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川尻剛照
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山岸正和
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稲津明広
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小林淳二
記事体裁
抄録
疾患領域
代謝・内分泌
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小児疾患
診療科目
一般内科
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循環器内科
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糖尿病・代謝・内分泌科
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小児科
媒体
The Lipid
「はじめに」家族性高コレステロール血症(familial hypercholesterolemia;FH)は最も頻度の高い遺伝疾患の1つであり,高LDLコレステロール(LDL-C)血症,腱黄色腫,若年発症冠動脈疾患(coronary heart disease;CHD)を三主徴とする常染色体性優性遺伝性疾患である1).FHの成因はLDL受容体(LDL-R)の構造と機能の異常による高LDL-C血症であることが明らかとなり,発見者であるBrown & Goldsteinにノーベル賞が授与された2).その後,LDL代謝経路に関係するいくつかの遺伝子と蛋白の異常によるFHが発見され,FHの成因と治療が非常に多彩であり,新たな成因分類,臨床像と治療が解明されることとなった.FHの頻度は1/200~1/500とされているが,適確に診断されている例は実際の数%にすぎず,大部分の症例は診断率,治療率共に低いと推測され,適切な診断と治療が求められている.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。