症例検討 脂質代謝異常症への多角的アプローチ
エベロリムス溶出性ステント留置後の血管治癒過程に関する検討
掲載誌
The Lipid
Vol.25 No.2 74-78,
2014
著者名
大竹寛雅
/
新家敏郎
/
平田 健一
記事体裁
症例
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抄録
疾患領域
循環器
/
代謝・内分泌
診療科目
一般内科
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循環器内科
/
心臓血管外科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
/
老年科
媒体
The Lipid
[背景] 薬剤溶出性ステント(drug eluting stent; DES)は, 従来のベアメタルステント(bare metal stent; BMS)に比べステント留置後中期の再狭窄率を劇的に改善し, 冠動脈疾患患者に対する重要な治療デバイスとなった. しかし, DES留置後数年経った症例において, 遅発性ステント血栓症や再狭窄が特徴的にみられることが明らかになり, 新たな臨床上の懸念事項として認識されるようになった. こういった現象を引き起こす要因として, いくつかの因子が指摘されてきたが, 近年の病理学的解析によると, 第一世代DES留置後には血管治癒の遷延を高率に認め, ステント血栓症や遅発性再狭窄といった遠隔期のDES failureとの関連について繰り返し報告されてきた1). われわれも, 光干渉断層映像(optical coherence tomography; OCT)を用いてsirolimuseluting stent (SES)留置6ヵ月後の血管治癒状況を評価し, 9%のストラットは新生内膜組織に被覆されておらず, ストラット全域にわたり被覆されていたステントはわずか16%であることを報告し, 確かに生体内でも病理学的検討同様に血管治癒の遷延がみられることを明らかにしてきた2).
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。