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特集 プラークバイオロジーの解明から新しい冠動脈イメージングまで

プラーク形成・破裂と制御性T細胞

笠原和之山下智也佐々木直人平田健一

The Lipid Vol.25 No.2, 26-32, 2014

[Summary] 動脈硬化プラーク形成の機序として, 炎症・免疫反応が重要な役割を果たすことが明らかとなってきており, 単球やマクロファージなどの自然免疫系の関与に加え, T細胞を中心とした獲得免疫系の重要性に注目が集まっている. CD4陽性T細胞の中には炎症を負に制御する制御性T細胞とよばれる亜群が存在し, 動脈硬化プラーク形成に対して抑制的に働くことがわかりつつある. 本稿ではプラーク形成から進展, 破裂の過程における, T細胞を中心とした免疫細胞の役割を概説するとともに, 制御性T細胞を標的とした新たな動脈硬化治療の可能性について議論する. [はじめに] 動脈硬化症は血管壁の慢性炎症性疾患であることが, 多くの知見から明らかになっている. さらに, 心血管イベントの原因となる動脈硬化のプラーク破綻の発生部位には, 炎症細胞の浸潤が多いことが報告されており, 動脈硬化の抑制のみならず心血管イベントの抑制を目的として, 炎症や免疫を制御することは大きな意義があると考えられる.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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