【特集 リパーゼの臨床的意義】
Ⅱ.脂質代謝,動脈硬化における機能と臨床的意義 細胞内のリパーゼ(HSL・ATGL・NCEHなど)
掲載誌
The Lipid
Vol.24 No.4 51-64,
2013
著者名
岡﨑啓明
記事体裁
抄録
疾患領域
循環器
/
代謝・内分泌
/
消化器
診療科目
循環器内科
/
心臓血管外科
/
消化器内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
媒体
The Lipid
[Summary]組織への脂質の沈着は, メタボリックシンドロームや動脈硬化の特徴的な病理所見であるが, 脂質沈着はこれらの病態の原因なのか, 結果なのか(図1)? 脂肪や筋肉, 肝臓などにおける中性脂肪(TG)の蓄積は各組織のインスリン抵抗性をきたすと考えられてきたが, 細胞内TGリパーゼの過剰発現/欠損マウスモデルを用いた研究から, TG蓄積自体はインスリン抵抗性と関連しない可能性が示唆されている. 一方でリパーゼはこれらの組織の生理機能に重要であり, リパーゼ欠損は機能障害をきたす. また, 動脈硬化の血管壁への脂質沈着〔主として遊離コレステロール(FC)やコレステロールエステル(CE)など〕は, 動脈硬化の初期病変であるだけでなく, 不安定プラークの形成を介して急性冠症候群の発症起点となると考えられ, 細胞内CEリパーゼの制御はすでに形成されたプラークを退縮させるreversibleな動脈硬化治療の標的として期待される. 本稿では, 細胞内でTGやCEを水解するリパーゼを紹介し, これらの病態におけるリパーゼの役割, 創薬へ向けた展望についてレビューしたい.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。