【特集 リパーゼの臨床的意義】
Ⅰ.リパーゼファミリーの分類および構造と機能
掲載誌
The Lipid
Vol.24 No.4 14-21,
2013
著者名
石橋俊
/
坂井謙斗
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岡﨑啓明
記事体裁
抄録
疾患領域
代謝・内分泌
診療科目
一般内科
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循環器内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
/
神経内科
/
老年科
媒体
The Lipid
[Summary]リパーゼは原核生物から真核生物まで広汎な生物が保有し, 多様な機能を果たしている. ほ乳類のリポ蛋白代謝において大切なリポ蛋白リパーゼ・肝性リパーゼ・内皮リパーゼは膵リパーゼファミリーの一員である. 脂肪細胞の脂肪滴のトリアシルグリセロール(TAG)を水解するホルモン感受性リパーゼとadipose triglyceride lipase (ATGL)は, 類似した機能を担っているが, 構造的には遠縁である. 肝細胞内でTAGを水解するtriacylglycerol hydrolase (TGH)やマクロファージのコレステロールエステル(CE)を水解するNCEH1は小胞体に局在する. 生理機能の特定されていないリパーゼも少なくない. 「はじめに」リパーゼ活性を有する酵素群は, 細菌や酵母から植物・昆虫・動物に広く存在し, それぞれに重要な生理機能を果たしている. その全貌を分子進化の観点から論ずるのはきわめて興味深い試みに違いないが, 本稿ではほ乳類のリパーゼを中心に機能や構造の類似性に焦点を当てて解説したい.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。