特集 代謝循環器系薬剤の多面的作用
インクレチン関連薬
The Lipid Vol.24 No.2, 58-64, 2013
[Summary] GLP-1やGLP-1受容体作動薬は, 糖・脂質代謝, 血圧や体重などの動脈硬化促進因子を改善させる作用と血管構成細胞である血管内皮細胞, マクロファージや血管平滑筋細胞に直接作用することで抗動脈硬化的に働く可能性が示唆されている. さらに, DPP-4阻害薬にはこのようなGLP-1作用に加えてGLP-1作用と独立した抗動脈硬化作用を有することが明らかになってきている. インクレチン関連薬のこれらの作用は2型糖尿病患者に対する治療上も糖尿病の最大の死因の1つである心血管イベントの発症抑制という観点からも今後期待がもたれている. 「はじめに」インクレチンは膵β細胞からのインスリン分泌作用以外にも膵α細胞からのグルカゴン分泌の抑制作用, 中枢神経を介した食欲抑制作用や胃内容排泄遅延作用や心保護作用など多彩な作用を有することが明らかになってきている. 一方で, 糖尿病は心血管イベント発症の明らかな危険因子であり, かつ, 心血管イベントが糖尿病患者の最も重要な死因の1つである.
「Key Words」インクレチン,糖尿病,大血管障害,動脈硬化
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