[Summary] 動脈硬化性疾患予防・再発予防には食事療法・運動療法などの生活習慣改善が必須であり, そのこと自体が脂質異常症管理にも結びつく. そして, 二次予防や高リスク群の場合は生活習慣改善指導と同時に薬物療法開始を必要に応じて考慮し, また低リスク群の場合は生活習慣改善指導を行った後に薬物療法を行うかどうか考慮するのがよい. 脂質異常症治療に当たり, 続発性高脂血症の要素を常に念頭に置くことは重要であり, また治療に対するアドヒアランス向上を目指して, 治療の工夫を凝らすことも肝要である. 「はじめに」欧米のみならずわが国における疫学研究により, 脂質異常症は高血圧症・糖尿病・喫煙などと並んで動脈硬化性疾患の確立した危険因子であることが明らかとなった. これら危険因子を包括的に管理することが重要であるが, 本稿では最初に脂質異常症を呈する患者の治療にあたりまず留意しなければならないことに触れた後, 包括的管理・脂質異常症治療の中核となる生活習慣の改善と脂質異常症に対する薬物療法, そしてアドヒアランスについて述べる.
「Key Words」生活習慣改善,薬物療法,続発性高脂血症,原発性高脂血症,アドヒアランス