Summary  虚血性心疾患の発症進展には,冠危険因子や生活・環境因子のみならず複数の遺伝的背景が関与している.Candidate gene approach(候補遺伝子アプローチ)や全ゲノム領域に配置した一塩基多型を用いて体系的に相関解析を行うgenome wide association study(GWAS)により,心筋梗塞の遺伝的リスク因子が明らかにされてきた.後者により,これまでの古典的危険因子とは別に炎症にかかわる遺伝的リスク因子であるリンフォトキシンαの多型などが注目されている.これらの新しい危険因子を虚血性心疾患の診断治療に役立てるためには,遺伝子多型研究と大規模臨床研究を融合させた薬理ゲノム学的,臨床ゲノム疫学的なアプローチが必須であり,OACIS研究など現実に進行しつつある.