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新しいマクロファージ

Ⅱ.病態 スカベンジャー受容体と動脈硬化

竹屋元裕

The Lipid Vol.22 No.2, 72-80, 2011

Summary
 スカベンジャー受容体は,アセチルLDLや酸化LDLなどの修飾LDLをリガンドとする受容体ファミリーで,多様な分子構造を示すものが含まれ,組織・細胞分布もさまざまである.いずれの受容体も修飾LDL以外に種々の物質をリガンドとして認識し,そのため生体内における機能も多彩であり,動脈硬化における役割も当初考えられていたほど単純ではないことがわかってきた.マクロファージの泡沫細胞化に主要な役割を果たすのはSR-A(CD204)とCD36であるが,いずれもパターン認識受容体として生体防御におけるマクロファージの活性化や炎症制御にも関与している.SR-Aは炎症抑制性に働き,CD36は炎症促進性に作用することから,このような機能が動脈硬化病巣形成にも影響している.

Key Words
●スカベンジャー受容体 ●SR-A(CD204) ●CD36 ●遺伝子改変マウス

はじめに

 粥状動脈硬化の初期病変である脂肪線条では,内皮下に集簇した多数の泡沫化マクロファージが病巣の主体を占める.高脂血症状態,特に高LDL血症では泡沫細胞の形成が促進され,粥状硬化形成が進行する.しかし,単に培養単球にLDLを添加しても,泡沫細胞形成は観察されない.家族性高コレステロール血症の患者は著明な高LDL血症を示し粥状硬化形成が促進されるが,この疾患ではLDL受容体が欠損しているにもかかわらず,マクロファージの泡沫細胞化が顕著である.これらの解析結果から,BrownとGoldstein1)は,マクロファージの泡沫細胞化にはLDL受容体以外の修飾(変性)LDLを認識する未知の受容体が関与すると考え,スカベンジャー受容体仮説を提唱した.スカベンジャー受容体の本態はしばらく不明であったが,1990年に最初のスカベンジャー受容体であるクラスAスカベンジャー受容体Ⅰ/Ⅱ型(SR-AⅠ/Ⅱ)が児玉らによって同定された2).その後,アセチルLDLや酸化LDLなどの修飾LDLをリガンドとする受容体が次々に発見され,現在では,その構造の違いから大きく八つのクラスに分類されている3)(図).

スカベンジャー受容体に属する受容体は,いずれも修飾LDL以外にさまざまな分子をリガンドとして認識し,マクロファージの泡沫細胞化以外にも多岐にわたる機能を示すことが明らかとなってきた.このような多面的な機能を背景として,動脈硬化病巣形成におけるこれらの受容体の役割は当初考えられていたよりも,より複雑であることがわかってきた4, 5).

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