Summary  ケモカインは,白血球に対する遊走活性をもつサイトカインであり,その作用は炎症部位への白血球の集簇制御に留まらず,末梢リンパ器官へのリンパ球のホーミング制御による恒常性の維持,AIDSウイルスの補助受容体としての役割など多彩である.近年,単球/マクロファージはいくつかのサブセットに分類されてきているが,ケモカイン受容体はそのマーカーのひとつとなっており,さらにはケモカイン/ケモカイン受容体によって単球/マクロファージの炎症部位への集簇や分化過程が制御されていることも明らかとなってきた.単球/マクロファージは特に慢性炎症において中心的な役割を果たしていることから,そのケモカイン/ケモカイン受容体は慢性炎症性疾患として知られる動脈硬化の形成においても重要である.