Summary
脂質シャペロンである脂肪酸結合蛋白(fatty acid-binding protein;FABP)のうち,aP2(FABP4/A-FABP)とmal1(FABP5/E-FABP)は脂肪細胞とマクロファージに発現し,メタボリックシンドロームの病因と深く関連することが報告されている.脂肪細胞とマクロファージ両方のFABPがインスリン抵抗性形成に関与する一方,動脈硬化の進展にはマクロファージのFABPが重要な役割を果たすことが示されている.薬物治療のターゲットになる可能性が示唆され,実際われわれは,マウスにおいてaP2特異的阻害薬が糖尿病および動脈硬化の治療薬になりうることを示した.また,FABP欠損マウスの各種臓器における脂質メタボローム解析から,脂肪細胞とマクロファージが存在する脂肪組織で特徴的な脂質コンポーネントの変化が認められ,de novoで生成・分泌される不飽和脂肪酸のパルミトレイン酸(C16:1n-7)が,「リポカイン」としてインスリン感受性の増大や動脈硬化を抑制する可能性が示されている.
全文記事
新しいマクロファージ
Ⅰ.生理機能 マクロファージの脂肪酸結合蛋白
掲載誌
The Lipid
Vol.22 No.2 36-43,
2011
著者名
古橋 眞人
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
循環器
/
糖尿病
/
神経疾患
/
癌
診療科目
一般内科
/
循環器内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
/
神経内科
/
老年科
媒体
The Lipid
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。