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新しいマクロファージ

Ⅰ.生理機能 マクロファージの核内受容体

槇島誠

The Lipid Vol.22 No.2, 24-30, 2011

Summary
 マクロファージのperoxisome proliferator-activated receptor γ(PPARγ)およびliver X receptor(LXR)の抗動脈硬化作用,LXRおよびvitamin D receptor(VDR)の自然免疫作用が明らかになった.酸化低比重リポ蛋白質成分によって活性化したPPARγは,LXRαとオキシステロール合成酵素CYP27A1の発現を誘導する.オキシステロールなどによるLXRの活性化は,マクロファージのアポトーシスを抑制して,コレステロール逆転送とプラークからの遊走を刺激する.LXRは,細菌感染によるマクロファージのアポトーシスを抑制し,またアポトーシス細胞の貪食を亢進する.マクロファージは,結核菌成分による刺激を受け,ビタミンD-VDRシグナル系を亢進し,オートファジーを介する抗菌作用を及ぼす.マクロファージの核内受容体は,動脈硬化,感染症,免疫疾患の有望な分子標的である.

Key words
●動脈硬化 ●免疫 ●核内受容体 ●LXR ●PPARγ ●VDR

はじめに

 核内受容体は,DNA結合領域とリガンド結合領域を有する転写因子型の細胞内受容体であり,ヒトにおいて48種類(マウスでは49種類)の存在が知られている1).グルココルチコイドやエストロゲンなどのステロイドホルモンの受容体が最初に単離された後,遺伝子の塩基配列の相同性を利用した分子生物学的方法によって,リガンドが不明な核内受容体も次々と単離され,オーファン核内受容体とよばれた.Liver X receptor(LXR),farnesoid X receptor(FXR),peroxisome proliferator-activated receptor(PPAR)などは,オーファン受容体として単離されたが,コレステロールや脂肪酸の代謝関連化合物がリガンドとして作用することがその後の研究で明らかになり,これらのオーファン(orphan;孤児)は,adopt(養子縁組み)されたわけである2, 3).マウスのマクロファージにおける核内受容体の発現が網羅的に解析され,全49種類のうち29種類の発現が認められた(表)4, 5).

グルココルチコイドがマクロファージやリンパ球などの免疫細胞のグルココルチコイド受容体を介して抗炎症作用を及ぼすことは,古くから知られていた.近年の研究によって,代謝センサーであるPPARγおよびLXRのマクロファージにおける機能が解明され,動脈硬化や2型糖尿病などの病態や自然免疫との関連性が注目されている.また,結核などに対する自然免疫におけるvitamin D receptor(VDR)の役割も明らかになった.本稿では,これらの核内受容体を中心にマクロファージの核内受容体の新機能を解説する.

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