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脂質研究の過去・現在・未来―創刊100号を迎えて―
(Up To Date)HDLの多面的機能とDysfunctional HDL
掲載誌
The Lipid
Vol.21 No.4 61-67,
2010
著者名
山下 静也
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
循環器
/
代謝・内分泌
診療科目
一般内科
/
循環器内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
/
老年科
媒体
The Lipid
「Summary」血清高比重リポ蛋白(HDL)コレステロール(HDL-C)値の低下は冠動脈疾患の独立した危険因子であり, HDLは動脈硬化防御作用を有するリポ蛋白である. 血管壁に蓄積した過剰なコレステロールはHDLやその構成アポ蛋白であるアポ蛋白A-Iによって引き抜かれ, HDL中へ組み込まれた後, HDL中のコレステロールエステル(CE)はコレステロールエステル転送蛋白(CETP)により, VLDL, IDL, LDLなどのリポ蛋白へ転送され, 最終的に肝臓へ戻る. HDLは従来, このような組織からのコレステロール引き抜き(Cholesterol efflux)と肝臓へのコレステロール転送という機能を有すると考えられてきたが, 最近では抗酸化作用, 抗炎症作用, 抗血栓作用, 内皮傷害改善作用, 血管拡張作用, 抗感染作用, 抗アポトーシス作用, 抗糖尿病作用など, 多面的機能も有することが解明されてきた. さらには, 種々の原因により, このような機能に異常をきたし, Functional HDLがDysfunctional HDLと変化することも明らかになってきた. 本稿ではHDLの多面的機能とその異常について述べる.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。