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脂質研究の過去・現在・未来―創刊100号を迎えて―
(Up To Date)家族性高コレステロール血症
掲載誌
The Lipid
Vol.21 No.4 51-60,
2010
著者名
斯波 真理子
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
循環器
/
代謝・内分泌
診療科目
一般内科
/
循環器内科
/
腎臓内科
/
皮膚科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
/
小児科
媒体
The Lipid
「Summary」家族性高コレステロール血症(FH)は, 高コレステロール血症, 黄色腫, 若年性動脈硬化症を主徴とする遺伝病である. 若年動脈硬化症により冠動脈疾患などの重篤な病気を引き起こすため, 早期診断, 早期治療が必要である. その診断は, 未治療時LDLコレステロール値, 皮膚および腱黄色腫の存在, 高コレステロール血症や冠動脈疾患の家族歴などで行う. 原因遺伝子は, LDL受容体とその機能にかかわるPCSK9やARH(LDLAP1)などが知られており, 遺伝子診断も有効な診断法のひとつである. 治療は, 食事療法や禁煙など生活習慣の改善に加えて, スタチンなどの薬物療法が重要な位置を占める. FHホモ接合体や冠動脈疾患を有し, 薬物療法に反応が悪いFHヘテロ接合体例には, LDLアフェレーシス療法が行われる. FHホモ接合体は, 2009年10月に特定疾患に認定されている. 「はじめに」家族性高コレステロール血症(Familial Hypercholesterolemia;FH)は, 高コレステロール血症, 皮膚および腱黄色腫, 若年性動脈硬化症による冠動脈疾患(CAD)などを主徴とする遺伝性疾患であり, 常染色体優性遺伝形式をとる1).
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。