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脂質研究の過去・現在・未来―創刊100号を迎えて―
(100号によせて)脂(あぶら)を売って生きた人間50年
掲載誌
The Lipid
Vol.21 No.4 30-32,
2010
著者名
山本章
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
循環器
/
代謝・内分泌
/
脳血管障害
診療科目
一般内科
/
循環器内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
/
神経内科
/
老年科
媒体
The Lipid
「節目と出会い」今年で78歳. 大阪大学で脂質の研究を始めたのが1958(昭和33)年なので, ちょうど50年間あぶら(Lipid)と付き合ってきたことになる. 脂肪肝が最初の研究対象であった. 当時は「コレステロールが低いと肝機能障害を考える」とは習っても, 高脂血症について習った医学生はほとんどいなかったであろう. 国立循環器病センターに移ったのは1988(昭和53)年であったが, 当時の心臓専門医は高血圧や血栓の意義は十分認識していても, コレステロールについて関心をもつ人は極わずかであったし, 耐糖能異常を調べる医師も少なかった. アメリカでの調査でも, コレステロールに関心をもつ医師は20%程度しかいなかったという. コレステロールへの認識がここまで高くなったのは, 抗高脂血症薬としてスタチンが市販されるようになり, コレステロールを下げることで粥状動脈硬化が退縮し, 虚血性心臓病が治療・予防できることが明らかにされたからである.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。