全文記事
脂質研究の過去・現在・未来―創刊100号を迎えて―
(100号によせて)コレステロールと動脈硬化研究の歩み
掲載誌
The Lipid
Vol.21 No.4 16-18,
2010
著者名
北徹
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
循環器
/
代謝・内分泌
診療科目
一般内科
/
循環器内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
/
老年科
媒体
The Lipid
私は, 大学院時代に将来動脈硬化研究に携わりたいと思い, その方面の教科書・論文に可能な限り目を通すことを日課にしていた. なかでも印象深かったのは, C.von Rokitansky博士とR.Virchow博士の論争である. 19世紀における代表的病理学者であるC.von Rokitansky博士とR.Virchow博士らは, 「動脈硬化病変は細胞浸潤を伴う炎症性増殖病変」であるとしたが, Virchowは病変はprimaryとしたのに, Rokitanskyは血栓に対する2次反応であるとした! 後に, オーストリアの学者Wick博士らは, Rokitansky博士の178年前の病理標本を用い, 免疫組織学的手法を駆使して, 動脈硬化の初期病変の特徴はCD3陽性のT細胞の集積であったとした1). 現在では, 多くの研究者の賛同を得ているところである2-5). 一方, 実験的動脈硬化研究はロシアの研究者であるAnitschkowに始まるといっても過言ではない.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。