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脂質代謝異常と腎臓の接点
リポ蛋白糸球体症の病態と治療
掲載誌
The Lipid
Vol.21 No.2 12-18,
2010
著者名
斉藤喬雄
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
代謝・内分泌
/
腎臓
診療科目
腎臓内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
媒体
The Lipid
[Summary]リポ蛋白糸球体症(lipoprotein glomerulopathy;LPG)は, 特異的な腎障害を示す原発性脂質代謝異常症であるが, 約半数が腎不全に至り, CKDにおける脂質異常と腎障害の関係を考える上でも参考になる. これまで, この疾患では新しいアポE変異が多数発見され, 実験的にもそれが腎障害に深くかかわると考えられてきたが, 腎局所における免疫反応や炎症機序の異常も要因として注目される. しかし, いずれにせよ, 脂質異常, 特に高トリグリセリド血症は増悪因子であり, フィブラートを主体とする高脂血症改善薬が有用なことが, 経時的腎生検でも明らかになってきた. 「はじめに」脂質代謝異常と腎疾患の関わりについては, 古くから高コレステロール血症がネフローゼの症候群にみられることが知られており, 最近はそのような病態が巣状糸球体硬化症の進行因子としても注目されてきた. しかし, 慢性腎臓病(CKD)の概念が示されると, むしろメタボリックシンドロームで問題とされる, トリグリセリドや中間比重リポ蛋白(IDL;レムナント)の増加, あるいは高比重リポ蛋白(HDL)の低下が, CKDの増悪因子としても注目され, その対策が必要とされてきた.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。