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特集 糖尿病と肝臓

糖尿病と肝疾患・疫学

藤原直人建石良介小池和彦

Diabetes Frontier Vol.28 No.6, 673-677, 2017

わが国の「平成27年国民健康・栄養調査」によると,40歳から74歳までの約3分の1が糖尿病に代表されるメタボリックシンドローム,またはその予備軍と考えられ,その膨大な数は社会問題を引き起こしている。この飽食の時代において,メタボリックシンドロームの肝臓での表現型が非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD)であり,その重症病型が非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)である。糖尿病の罹患とNAFLD/NASHの発症には強い連関を認める。現在米国では成人人口の約20~30%がNAFLD,約3~4%がNASHであると推察され,米国で最も患者数の多い肝臓病である。最新の報告では高度線維化をきたしたNASHは今後増加するものと予想され,2030年には米国で300万人がNASHに伴う肝硬変をきたすと予想されている1)。この状況は,肥満人口の増加とウイルス性肝炎の治療法が確立しつつある現在,わが国の肝臓病の将来を反映している。本稿では,糖尿病と肝疾患(特にNAFLD/NASH),および肝発癌について焦点を当てて概説する。
「KEY WORDS」2型糖尿病/非アルコール性脂肪肝疾患/肝細胞癌/肝発癌抑制

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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