糖尿病性腎症は新規透析導入の原因疾患の第1位であり,患者本人のQOL低下だけでなく,医療費増大をもたらすことから,社会的にも重症化予防に対する要求が高まっている。
2015年7月,健康寿命の延伸と医療費適正化に向けて発足した「日本健康会議」において「健康なまち・職場づくり宣言2020」8項目が採択され,このうち「宣言2」として「市町村などを中心とした重症化予防の取組促進」が掲げられた。それを受け,重症化予防(国保・後期広域)ワーキンググループならびに厚生労働科学研究班が発足し,「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」を作成,2016年4月には日本医師会・日本糖尿病対策推進会議・厚生労働省の連名で,国版プログラムとして発表している。国は保険者全数調査を行い実施状況を把握するとともに,研究班では全国85市町村5後期高齢者医療広域連合(以下,広域)の協力を得て実証研究を始めている。
本稿では,重症化予防プログラム作成の経緯,プログラムの概要,全国での展開の現状について述べたい。
「key words」糖尿病性腎症,重症化予防プログラム,地域連携,日本健康会議,糖尿病対策推進会議