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特集 SGLT2阻害薬の光と影

Ⅱ SGLT2阻害薬の臨床効果“影の部分” ①ケトアシドーシス・低血糖誘発のリスクは?

倉野美穂子西尾善彦

Diabetes Frontier Vol.27 No.6, 724-727, 2016

SGLT2阻害薬は,腎近位尿細管の上皮細胞に特異的に存在するナトリウム-グルコース共役輸送体を阻害し,尿細管からのブドウ糖再吸収を抑制することで高血糖を是正する新しい機序の薬剤である。インスリン作用を直接介さないという点で,従来の糖尿病治療薬とは全く異なる作用機序をもつため,その有害事象にも特有のものが含まれ,日本糖尿病学会から「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」において注意喚起がなされている1)。本稿では,それらの有害事象の中でも,市販直後調査において比較的頻度が高かった低血糖と,相次いで重症例が報告されたことよりrecommendationが改訂される一因ともなったケトアシドーシスについて,臨床試験の結果やケースレポートから,この薬剤の特性に焦点を当てその誘因を検証し留意点を述べる。
「key words」SGLT2阻害薬,低血糖,糖毒性,euglycemic DKA

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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