特集 SGLT2阻害薬の光と影
J-DREAMS
―診療録直結型全国糖尿病データベース事業
Diabetes Frontier Vol.27 No.6, 687-694, 2016
わが国において,糖尿病は重要疾患の1つである。国における位置付けとしても,厚生労働省の主要な政策である健康日本21(ポピュレーション・アプローチ),特定健診・特定保健指導(ハイリスク・アプローチ)においてターゲットとなる疾患の1つとされており,また医療法で定める5疾病5事業の中の1つとされている。
一方で,がんや心血管疾患(急性心筋梗塞,脳卒中など)に比べ,国内で医療政策に直接影響を及ぼすような研究が少なく,エビデンスに基づいた政策形成が行いにくい状態となっている。がんや心血管疾患のような疾患の場合,診断と初期の治療が短い期間の間に専門の病院で行われることが多く,イベント駆動型の登録を行い,アウトカムをフォローすることによって,疾患データベースを作成することができる。また,アウトカムまでのスパンが比較的短い。これに対して糖尿病の場合,診断も治療も専門病院に限ることはなく一般の診療所でも行われている,経過の中で治療と中間アウトカムであるHbA1cや体重などが比較的緩やかなペースで変化するのを捕捉する必要がある,診断から合併症発症までの期間が長いなど,糖尿病患者のデータベースを作成するのは多大な労力が必要である。
「key words」糖尿病,疫学研究,医療情報,患者登録,SS-MIX2
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。