妊娠糖尿病(gestational diabetes mellitus:GDM)は妊娠中の糖尿病に至らない軽度の糖代謝異常であり,2010年のGDM診断基準改定以降,当施設でもGDMと診断される妊婦は確実に増加している。妊娠経過中の糖代謝異常は,たとえ軽度であったとしても周産期合併症が増加するため,妊娠中の血糖管理目標はきわめて厳格に設定されている。2016年4月には一部のGDM妊婦に対する血糖自己測定(self-monitoring of blood glucose:SMBG)が保険診療により実施可能となり,GDM症例の日常生活における詳細な血糖推移の把握が可能となった。これに伴い,高血糖の存在が見逃されていたGDM症例に対する介入が可能となり,GDM症例の母児合併症の減少が期待される。妊娠中の血糖管理には,多くの場合内科医が携わっているが,分娩時は内科医が血糖管理に関われないことが多い。本稿では,当施設におけるGDM症例の分娩中の血糖管理について,内科医の視点から述べる。
「key words」妊娠糖尿病(GDM),分娩,血糖管理,インスリン,新生児低血糖
「key words」妊娠糖尿病(GDM),分娩,血糖管理,インスリン,新生児低血糖