2010年の妊娠糖尿病の診断基準の変更以来, 妊娠糖尿病患者数は増加した1)2)。国際的大規模臨床試験HAPO study(Hyperglycemia and Adverse Pregnancy Outcome study)によって,軽度の母体高血糖と周産期合併症との関連が示されており3),また,RCT(randomized controlled trial)研究の結果から,妊娠糖尿病に対する治療介入の必要性やその効果が期待できることが明らかとなっている4)5)。しかし,妊娠糖尿病患者の適切は管理方法については,いまだ不明な点が多く,統一されたものはない。また,同じ妊娠糖尿病患者であっても,食事療法のみで管理可能な患者からインスリンを日に何十単位も使用する患者まで,その耐糖能障害の程度はさまざまで画一的な方法では対応できない。ここでは,われわれが妊娠糖尿病を管理する上での基本的な方針や注意を診断からの流れに沿って紹介したい。
「key words」患者教育,食事療法,インスリン療法,血糖自己測定