糖尿病合併妊娠よりも軽症の妊娠中の耐糖能異常である妊娠糖尿病(gestational diabetes mellitus:GDM)が周産期予後不良の原因になるのかについては,そのエビデンスが乏しいことが長年指摘されていた。2008年,International Association of Diabetes and Pregnancy Study groups(IADPSG)の主導による大規模な未介入観察試験であるHyperglycemia and Adverse Pregnancy Outcomes(HAPO)研究1)は,軽症の母体の耐糖能異常であるGDMが,巨大児,臍帯血高Cペプチド血症,新生児低血糖などの児の合併症および妊娠高血圧腎症,肩甲難産,初回帝王切開といった母体合併症をともに増加させることを明らかにし,その周産期合併症としてのエビデンスが確立した。IADPSGはHAPO研究の成果をもとに,GDMの国際標準診断基準を2010年3月の「Diabetes Care」に発表した2)。
「key words」GDM,リスク・スコアリング法,リスク因子トリアージ法