特集 妊娠糖尿病
わが国における妊娠糖尿病の疫学
―JAGS trialを用い新基準後におけるGDMの臨床背景を紐解く―
Diabetes Frontier Vol.27 No.5, 578-584, 2016
妊娠糖尿病(gestational diabetes mellitus:GDM)に関するわが国の管理は1985年に定義が発表されて以後,日本産婦人科学会が提案した基準を採用し行われてきた。その後26年が経ち,International Association of Diabetes and Pregnancy Study Group(IADPSG)は,Hyperglycemia and Adverse Pregnancy Outcome(HAPO)studyのデータを元に,GDMに関し世界統一の新診断基準を提唱した1)。わが国でも2010年4月から前記勧告に準拠した新診断基準が制定された。さらに2015年8月からIADPSG診断基準の“overt diabetes in pregnancy”の表記に合わせ,今まで以上に整合性の高いものにするべく一部改訂が成された2)。そして2016年4月に妊婦の糖代謝異常に対するSMBG(self-monitoring of blood glucose)保険適応拡大が認められ,ハイリスクGDM(HbA1c 6.5%未満で75gOGTT 2時間値が200mg/dL以上)の従来の項目に加え,「75gOGTTの基準3点のうち2点以上」,「75gOGTTの基準1点以上,かつ非妊時BMI(body mass index)≧25kg/m2」が追加された。
「key words」JAGS trial,妊娠糖尿病,初期スクリーニング
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。