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特集 アディポサイエンス・フロンティア

Ⅲ アディポサイエンス・クリニカル 体脂肪分布のフロンティア―肥満・インスリン抵抗性における白色脂肪組織およびその体内分布の重要性

吉野純

Diabetes Frontier Vol.27 No.3, 337-342, 2016

「はじめに」インスリン抵抗性は,2型糖尿病,心血管病変,非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis:NASH),動脈硬化症の病態生理に深く関与することが知られている1)2)。肥満は,脂肪細胞の病的な肥大・増殖および質的(機能)異常で特徴づけられ,インスリン抵抗性の最も重要な危険因子といえる。現在,肥満の指標として,body mass index(BMI)が広く用いられている。世界保健機構(WHO),欧米諸国では,BMI値が30kg/m2以上,わが国(日本肥満学会の診断基準)では,BMI値が25kg/m2以上の場合を肥満と定義している。このBMI値が,体内の総脂肪量を反映し,インスリン抵抗性,糖尿病を含む肥満合併症の優れた指標であることに疑いの余地はない。しかしながら,興味深いことに,BMI値では肥満と診断されるヒトの中にも,インスリン抵抗性などの代謝異常を合併しない,健康な肥満者が存在することが知られている3)。診断基準,人種などにより差異は認められるが,約13~30%の肥満者が代謝異常を合併しないとされており,これらの代謝的に健康な肥満者は,そうでない肥満者と比べ,糖尿病や心血管病変の発症率が低い4)。
「key words」肥満,インスリン抵抗性,内臓脂肪,皮下脂肪,脂肪分布

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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