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特集 アディポサイエンス・フロンティア

Ⅱ アディポサイエンス・トランスレーショナル 中枢性食欲調節のフロンティア

箕越靖彦

Diabetes Frontier Vol.27 No.3, 325-330, 2016

「はじめに」脳は,個体全体のエネルギー状態,個々の組織の代謝状態を常にモニターし,それらの情報を統合することによって摂食を制御する。しかし,摂食調節機構の全容はまだまだ全く不明であり,われわれの知らない多くのメカニズムが複雑に調節作用を及ぼしている。摂食調節に関する最近の特筆すべき研究成果は,光刺激などの新しい手法によって,摂食や代謝調節に関わる神経回路がニューロンレベルで少しずつ解明されたことである。これらの研究手法によって,摂食に関与する神経回路を選択的に活性化あるいは不活化し,摂食行動を直接制御することが可能になった。また,摂食に関わるニューロンの活動を,細胞内カルシウムの動きとして捉えることにより,in vivoでモニターすることもできるようになった。興味深いことに,視床下部弓状核に存在する代表的な摂食調節ニューロン,NPY/AgRPニューロン(以下,AgRPニューロン)は,摂食を開始すると直ちに神経活動が抑制され,食物をみただけでも活動が一過性に抑制される1)2)。このことは,これまで摂食制御に関わる一次ニューロンと捉えられてきたAgRPニューロンが,エネルギー状態だけでなく,高次脳機能の制御を受けることを示唆する。
「key words」摂食,視床下部,AgRPニューロン,報酬系,肥満

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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