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総説

Sirtuin familyと糖尿病 ―Sirt1,3,6を中心に

北田宗弘古家大祐

Diabetes Frontier Vol.27 No.3, 271-280, 2016

「はじめに」サーチュインは,カロリー制限の寿命延長・抗老化効果に関する研究の結果同定された分子の1つである。そもそも栄養は,生命体が生きていく上で必須のものであり,摂取された栄養素(グルコース・アミノ酸・脂肪など)は,体内に吸収後,細胞・組織の構成材料として利用され,また,そのものがエネルギー源となる。これらの栄養素は単に材料としてのみならず,栄養素自身が細胞内シグナル伝達物質として働き,さまざまな細胞機能を制御している。すなわち,栄養を感知して伝達する細胞シグナル,“栄養応答シグナル”が存在し,食事摂取や活動によって変化するエネルギー状態を認識し,個体全体の栄養代謝の恒常性を維持している。サーチュインは,AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK),mammalian target of rapamycin(mTOR)と並んで,栄養応答シグナルに関連する経路・分子として知られている。それぞれ,栄養過剰(グルコース・アミノ酸・脂肪酸の変化)あるいは,NAD+の上昇やATP/AMPの低下などによりモニターされるエネルギーの状態を感知して細胞機能の制御を担っている。
「Key Words」Sirt1,Sirt3,Sirt6,カロリー制限,栄養応答シグナル

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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