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総説

エネルギー代謝とエピジェネティクス

橋本貢士小川佳宏

Diabetes Frontier Vol.27 No.1, 19-28, 2016

「はじめに」エピジェネティクスのエピはギリシャ語で“上の”,“外の”,“超えた”などの意味があり,遺伝情報そのものであるDNAの塩基配列の変化を伴わない,遺伝子発現および細胞表現型の変化を研究する学問領域と定義されている。現在ではエピジェネティクスは3要素で構成されると考えられている。1つ目としてはゲノムインプリンティングに代表されるDNAメチル化,2つ目にヒストンのメチル化やアセチル化などの修飾,そして3つ目として長鎖や短鎖の形態をとるnon-coding RNAがある。またエピジェネティクスの影響を受けた遺伝子をエピゲノムと呼ぶ(図1)。ではこのエピジェネティクスとエネルギー代謝はどのような関連があるのだろうか。エネルギー代謝の異常によって生じる肥満症,2型糖尿病などの生活習慣病にはその発症に遺伝子異常などの遺伝素因に加え,環境因子,特に栄養環境が大きく関わっていることが知られている。現在,さまざまな栄養に関する因子が糖脂質代謝遺伝子を抑制する分子機構としてエピジェネティクスが関与していることが明らかとなってきている(図2)。
「Key Words」エピジェネティクス,DOHaD仮説,DNAメチル化,ヒストン修飾,細胞内代謝産物

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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