「はじめに」わが国における糖尿病患者の増加は最近頭打ちになったものの,依然高齢者では増加しており,今後さらに超高齢社会が進むにつれその増加は継続すると予想される。細小血管障害・大血管症は,高齢者においても予後のみならず生活の質にも大きく影響するため,その予防は重要であるが,高齢者糖尿病特有の問題点,すなわち認知機能や身体機能,社会的背景などへの配慮も,質の良い糖尿病診療を施すためには必要不可欠である。こうしたことを受け,高齢者糖尿病の治療目標,治療法に関するガイドラインが,特に海外を中心に発表されている。本稿では,これらのガイドラインを元に,今後の高齢者糖尿病治療について考察する。
「key words」糖尿病合併症,個別性,低血糖,高齢者総合機能評価(CGA),身体機能