「はじめに」わが国は世界に類をみないほど急速に人口の高齢化が進んでいる1)。それとともに,糖尿病人口も増加し,ここにも高齢化がみられている。寿命の延長が,経済の発展,医療の進歩とともに観察され,一般サラリーマンの定年もこの間に55~58歳,60歳さらに最近は,65歳へと延長されている。時代的な背景もあるが,確かにわが国の国民は体力的にも多少の若返りはみられている(注:2015年6月13日の日本老年学会総会にて声明を発表)。一般に,高齢者の体力,代謝機能は低下しているが,何歳から高齢者と区切ることは困難である。文献的,社会的には65歳を一応の目安とはしているが,現実をみれば70歳以上に区分されてもよいのではなかろうか2)。ちなみに,昨年の12月に実施された内閣府の高齢者に関する国民の意識調査では「70歳」からを高齢者と自覚している人が増加している。しかし,だからといって若年・壮年者と同様の扱いでは,これだけ作用が異なる多種類の糖尿病治療薬3)が発売されていては,なかには高齢者にとって好ましくない副作用も稀ではない4)。
「key words」高齢糖尿病患者,経口糖尿病治療薬,低血糖,Smile project,血糖コントロール目標
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