【特集 超高齢社会における糖尿病診療】
特集にあたって
掲載誌
Diabetes Frontier
Vol.26 No.5 551,
2015
著者名
横野浩一
記事体裁
抄録
疾患領域
糖尿病
/
神経疾患
診療科目
循環器内科
/
腎臓内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
/
神経内科
/
老年科
/
精神科
媒体
Diabetes Frontier
超高齢社会が進行するとともに高齢者糖尿病の頻度が増加している。その原因の1つに加齢に伴う体組成の変化であるサルコペニアが関与している。この変化は糖尿病の2大成因の1つであるインスリン抵抗性を助長するのみならず,高齢者における生活習慣病の発症を容易に惹起させる。加えて,歩行時の転倒や骨折の要因ともなり,寝たきりや認知症の発症など,老年症候群を誘導する最大の変化としてその予防と早期治療が重視され,食事ではロイシンを多く含むたんぱく質の摂取と運動では有酸素運動よりもレジスタンストレーニングの有効性が報告されている。老年医学分野で最近サルコペニアと並んで注目されているのがフレイルである。フレイルとは「老化に伴う種々の機能低下を基盤として,種々の健康障害に対する脆弱性が増加している状態」と定義される。当初のFriedらの診断基準では,サルコペニアで生じる加齢変化がその主原因とされたが,最新の文献的レビューでは認知機能の低下がフレイルの大きな原因となることが示されている。このことからも高齢者糖尿病のより良い血糖コントロール目標として,認知機能低下の抑制を含むフレイルの予防が重要となる。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。