「はじめに」ホルモンの生理的,あるいは病態生理的な意義を理解する上で,血中濃度の測定は不可欠である。不正確な測定値に基づいたデータの集積は,誤った固定観念(“そのホルモンの生理的動態はかくあるべき”といったような)を生み出す危険がある。1921年にBantingとBestによりインスリンが発見された2年後の1923年に,KimballとMurlinによりインスリン精製物に混在する血糖上昇物質としてグルカゴンが発見された。その後,1935年にグルカゴンの精製,1953年に結晶化に成功し,1956年に29アミノ酸からなる一次構造が決定された。測定系に関しては,1959年にインスリンで開発されていたラジオイムノアッセイ(radioimmunoassay:RIA)がほぼ同時にグルカゴンにも応用された1)。その後,1960年代から1970年代にかけ,世界的にグルカゴン研究が盛んになり,国内にも世界をリードする多くのグルカゴン研究者が存在した。
「Key Words」糖尿病,グルカゴン,サンドイッチELISA,プログルカゴン