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特集 インスリン分泌促進薬の現状と新たな展望

インスリン分泌促進薬の位置づけ(併用療法)

勝野朋幸村井一樹難波光義

Diabetes Frontier Vol.25 No.5, 588-595, 2014

「はじめに」1型糖尿病を対象としたDCCT(Diabetes Control and Complications Trial)やEDIC(Epidemiology of Diabetes Interventions and Complications),2型糖尿病を対象としたUKPDS(United Kingdom Prospective Diabetes Study)などの大規模研究の分析結果から,良好な血糖コントロールは細小血管障害のみならず,大血管障害の発症・進展も抑制することが明らかとなっている。その一方で,薬物療法によって,より厳格な血糖コントロールを目指せば,必然的に低血糖の発症や体重増加のリスクが大きくなる。低血糖はQOLや治療アドヒアランスの低下,合併症の増悪などの原因となるばかりでなく,重症化した場合には生命そのものを脅かすこともある。また急速かつ厳格な血糖コントロールを目指した近年の大規模臨床試験,とりわけACCORD(Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes)では,血糖コントロール改善の大血管障害に対する発症予防効果が重症低血糖の発現によって打ち消される可能性も示されている。今後の糖尿病治療においては低血糖リスクを軽減しながら,かつ体重増加を伴わずに血糖変動のより小さい,良好な血糖コントロールを達成するための治療の組み立てが必要と考えられる。
「key words」インスリン分泌促進薬/低血糖/体重増加/血糖変動

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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