特集 糖尿病強化療法―低血糖を巡る諸問題
Ⅲ.糖尿病薬物治療における低血糖回避の試み―最近の進歩 インクレチン治療―DPP-4阻害薬の応用
Diabetes Frontier Vol.25 No.4, 444-450, 2014
[はじめに] これまで血糖コントロールの指標としてHbA1cや空腹時血糖値に重点が置かれてきた1). しかし近年ではHbA1cはあくまでも中・長期にわたる血糖値の平均の指標であり2), 日々の細かな血糖変動を十分に反映していないという問題点が指摘されている3). 1型糖尿病を対象としたDCCT (Diabetes Control and Complications Trial), EDIC (Epidemiology of Diabetes Interventions and Complications)や, 2型糖尿病を対象としたUKPDS (United Kingdom Prospective Diabetes Study)などの大規模研究の分析結果から, 良好な血糖コントロールは細小血管障害のみならず, 大血管障害の発症, 進展も抑制することが明らかとなっている. その一方で, 薬物療法によって, より厳格な血糖コントロールを目指せば, 必然的に低血糖の発症リスクが大きくなる.
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