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特集 糖尿病強化療法―低血糖を巡る諸問題

Ⅱ.低血糖と慢性合併症 治療後有痛性神経障害とその対策

真田充安田斎

Diabetes Frontier Vol.25 No.4, 434-438, 2014

[はじめに] インスリンを中心とした糖尿病強化療法は, 1型糖尿病症例はもちろんのこと, 食事療法, 運動療法, および経口血糖降下薬によっても血糖コントロールが困難となった2型糖尿病症例において使用されるなど, 実地臨床の現場で広く用いられている治療法である. しかしながら, 同治療法導入によって得られる急激な血糖管理は, 治療後有痛性糖尿病性神経障害と呼ばれている1), 神経障害の悪化を生じる可能性があり, 注意が必要である. 本稿ではまず糖尿病性神経障害全般について概説し, 次に治療後神経障害の治療と密接に関連している有痛性糖尿病性神経障害の最近の話題も解説したい.
[I. 糖尿病性神経障害の診断基準] 糖尿病には種々の末梢神経障害が合併し, 障害の分布を重視したThomasの分類(表1)2)が知られている. 糖尿病性神経障害は末梢神経を障害する疾患群のなかで最多であり, その症状は多彩であるが, 糖尿病専門医・神経内科医・病理医によって構成されている「糖尿病性神経障害を考える会」から多忙な臨床家にも使用可能な簡易診断基準3)(表2)が提唱され, 広く実地臨床の場で用いられるところとなり, わが国における臨床像が解明されつつある.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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