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特集 糖尿病強化療法―低血糖を巡る諸問題

Ⅱ.低血糖と慢性合併症 大血管障害のリスクファクターとしての低血糖

松林泰弘曽根博仁

Diabetes Frontier Vol.25 No.4, 421-427, 2014

[はじめに] 大血管障害は, 糖尿病患者の生命予後や, 生活の質(QOL)を脅かす主要因であることは周知の事実である. 1991~2000年までのわが国で実施された糖尿病患者の死因調査の結果では, 虚血性心疾患, 脳血管障害を合わせると, 死因の20%を占めている(糖尿病50: 47-61, 2007). 糖尿病患者の予後改善に向けた治療の在り方が問われるようになったなか, 1型糖尿病患者を対象とした, DCCT (Diabetes Control and Complications Trial)/EDIC (Epidemiology of Diabetes Interventions and Complications)や, 2型糖尿病患者を対象としたUKPDS (United Kingdom Prospective Diabetes Study) 80, ならびにSteno-2 Studyを代表に, いくつかの大規模臨床研究の結果からは, 早期に良好な血糖コントロールを得ることは, 細小血管障害のみならず, 大血管障害に関しても, 発症・進展を抑制することが示された.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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