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特集 糖尿病と精神疾患

第二世代抗精神病薬と耐糖能

玉地亜衣岡田俊

Diabetes Frontier Vol.25 No.3, 292-299, 2014

「はじめに」統合失調症患者における身体合併症による死亡率は一般人口よりも高いといわれており, 心血管疾患による死亡率は一般人口の約6倍, 呼吸器疾患による死亡率が約5倍と報告されている1). 心血管疾患のリスク因子には肥満, 糖尿病などの代謝系障害があげられており, 代謝系障害の管理は統合失調患者における生存期間を延長するという観点からも重要である. 統合失調症患者の代謝系障害の原因は, 遺伝的要因, 疾患に関連した生活習慣の問題などが考えられているが, 治療に用いられている薬剤の影響も少なくない. 第二世代抗精神病薬は統合失調症治療の第一選択とされており, 第一世代抗精神病薬に比べて錐体外路症状の出現が少ないというメリットがある. しかしその一方で, 体重増加, 糖尿病, 脂質代謝異常を誘発する可能性が指摘されており2), さまざまな抗精神病薬による糖尿病発現のリスクを比較したメタ解析では, 第二世代抗精神病薬が第一世代抗精神病薬よりも有意にリスクが高いことが示唆されている3).

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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