総説
膵と糖尿病―ランゲルハンス島の病理から―
掲載誌
Diabetes Frontier
Vol.25 No.3 245-253,
2014
著者名
八木橋操六
記事体裁
抄録
疾患領域
糖尿病
診療科目
一般内科
/
循環器内科
/
腎臓内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
/
老年科
/
小児科
媒体
Diabetes Frontier
「はじめに」1869年, ベルリン大学医学部学生のPaul Langerhansは, 膵臓の顕微鏡観察から膵にこれまで記載されていなかった新しい細胞集団を見い出した. 彼はその組織の意味するところを追究することはなく, 結核のため世を去った. その後, その組織はランゲルハンス島としてインスリン発見の基盤となり, 糖尿病で最も重要な研究対象となってきた. しかしながら, 糖尿病は「インスリン作用の破綻に基づく代謝異常」と定義され, 膵島病理に関してのまとまった概念は提示されてこなかった. すなわち, 長く高血糖, インスリン作用不足, 分泌低下などの生理的, あるいは生化学的変化によりその概念が説明されてきた. ところが近年の糖尿病患者の爆発的な増加も相まって, あらためてヒト糖尿病の多様な病態, 合併症病変の解析など新しい手法を加えた専門的解析が不可欠となってきた.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。