基礎講座 体質からみた糖尿病―ジェネティクス・エピジェネティクス―
5 糖尿病とmiRNA
掲載誌
Diabetes Frontier
Vol.24 No.5 557-562,
2013
著者名
原一雄
記事体裁
抄録
疾患領域
循環器
/
糖尿病
/
腎臓
診療科目
一般内科
/
循環器内科
/
腎臓内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
/
神経内科
/
眼科
/
老年科
媒体
Diabetes Frontier
「はじめに」miRNAは, 19~23個程度のヌクレオチドからなるRNAで, 標的RNAの翻訳の停止を導いたりmRNAを分解することにより, 真核細胞における遺伝子発現のレベルの調節をする役割を担っている. これまでmiRNAと疾患の関わりについては悪性腫瘍についての報告が主であったが, 最近miRNAが糖尿病とその合併症に関連する重要臓器の膵β細胞や脂肪細胞において, 種々の遺伝子の翻訳・発現を調整し, 糖尿病や合併症の発症や病態生成に重要な役割を果たしていることが明らかになってきた. miRNAは細胞内にとどまらず細胞から分泌されて血中を比較的安定した形で循環していることも明らかになっており, 糖尿病や合併症の病態を反映し, 糖尿病の将来の発症や重症化を予測するバイオマーカーとしての役割も期待されている. miRNAの特徴的な性質からmiRNAを標的とした薬剤は, これまでにない範疇の根本的糖尿病・合併症治療法になる可能性があり, miRNAは糖尿病学と糖尿病の診療・治療にとって新たなFrontierとなる可能性を秘めている.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。