【特集 膵島のバイオロジーの新たな展開】
膵島とグルカゴンシグナル―グルカゴンKOマウスによる解析―
掲載誌
Diabetes Frontier
Vol.24 No.5 550-554,
2013
著者名
林良敬
/
清野祐介
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尾崎信暁
記事体裁
抄録
疾患領域
代謝・内分泌
/
糖尿病
診療科目
一般内科
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循環器内科
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腎臓内科
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糖尿病・代謝・内分泌科
/
老年科
媒体
Diabetes Frontier
「はじめに」インスリン分泌の促進やインスリン作用の増強を主な作用機序とする糖尿病治療薬が広く臨床で用いられている一方, グルカゴン作用の抑制を主な作用とする薬剤は少ない. 近年, インスリン作用の不足に加えてグルカゴンの過剰分泌・過剰作用が糖尿病の病態に関与していることが注目を集めている1). 本稿では, グルカゴン作用の抑制や欠損が代謝や膵島に及ぼす変化・影響について, 最近モデル動物を用いた解析により得られた知見を中心に紹介する. 「I. さまざまなグルカゴン作用欠損動物モデル」膵臓ランゲルハンス島のα細胞で産生されるグルカゴンは, 血糖値上昇作用を示す一方で, 腸管内分泌L細胞で産生されるGLP-1(glucagon-like peptide-1)はインクレチン作用を示す2)3). 一見相反する生理作用を示すこれらのペプチドは, プログルカゴンを共通の前駆体として, プロホルモン転換酵素(prohormone convertase : PC)による組織特異的プロセッシングを経て産生される(図1).
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。