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特集 糖尿病と脂質代謝異常の病態リンク

糖尿病における脂質異常の病態

稲垣恭子及川眞一

Diabetes Frontier Vol.24 No.4, 386-391, 2013

「はじめに」糖尿病における脂質異常症の合併は動脈硬化の進展に強く関連する. 糖尿病治療による血糖改善は細小血管障害の抑制に寄与するが, 冠動脈疾患や脳血管障害などの大血管障害は, 血糖改善だけでは十分抑制ができないことが明らかになっている. 近年では糖尿病患者における大血管障害の抑制には血糖改善に加え, 合併する脂質異常の改善が重要であることが指摘され, 治療ターゲットとして注目されている. 「I. 糖尿病における脂質異常症の特徴」糖尿病に特徴的な脂質異常といったものはない. インスリン欠乏とインスリン過剰・作用低下がその機序としてあげられるが, その結果としての脂質異常症が出現する. 脂質・リポ蛋白代謝変化のすべてが出現するものと考えてよい. したがって高中性脂肪血症, 高VLDL(very low-density lipoprotein)血症, HDLの低下, small dense LDL, 高コレステロール血症としての高LDL-C血症が出現する.
「key words」糖尿病,脂質異常,インスリン,肝,腸管

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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