特集 インクレチン関連薬の多面的作用の理解に向けて
インクレチン,DPP-4阻害薬の,肝臓,脂肪組織に対する作用
Diabetes Frontier Vol.24 No.3, 296-302, 2013
「はじめに」インクレチンの末梢性膵外作用のうち, 肝臓, 脂肪組織に対する作用について考える1)(図1). 「I. 肝臓に対する作用」ヒト肝細胞においては, GLP-1(glucagon-like peptide-1)受容体の存在を肯定する報告があるが2), 一方で存在を否定する報告もあり結論は得られていない(表). 同様に, GIP(glucose-dependent insulinotropic polypeptide)受容体についても肝細胞での存在の有無については結論が得られていない. したがって, 肝臓におけるGLP-1によると考えられているグルカゴン分泌抑制を介した糖新生抑制作用, インスリン依存性のグルコース取り込みおよびグリコーゲン合成促進作用, 脂肪肝改善作用の機序は, GLP-1受容体を介した直接作用あるいは間接作用によるものと推察されるという以上のことはいえないという現状である3).
「key words」GLP-1作動薬,DPP-4阻害薬,脂肪肝(NASH/NAFLD),インスリン抵抗性
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