「はじめに」糖尿病に特徴的な合併症である細小血管障害の発症は, 慢性高血糖の指標であるHbA1c値ときわめてよく相関する. また血糖値の良好なコントロールにより, その発症を抑制できることも明らかになっており, 「厳格な血糖コントロールが重要である」という認識は定着しているといえる. 一方, 動脈硬化を主体とする糖尿病の大血管障害については, イベント発症の規定因子が慢性高血糖のみであるかどうか議論がある. これは2008年から相次いで発表された臨床研究ACCORD(Action in Diabetes and Vascular Disease:Preterax and Diamicron Modified Release Controlled Evaluation)1), ADVANCE (Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes)2), VADT(Veterans Affairs Diabetes Trial)3)において, いずれの試験でもこれまでにないほどHbA1c値を低下させたにもかかわらず, 期待した大血管障害抑制効果が得られなかったからである.
「Key Words」血糖変動,大血管障害,インスリンデグルデク,α-グルコシダ―ゼ阻害薬,食事摂取順序
「Key Words」血糖変動,大血管障害,インスリンデグルデク,α-グルコシダ―ゼ阻害薬,食事摂取順序