基礎講座 糖尿病患者の“血管を診る”~画像化と機能評価~
静脈血栓塞栓症
Diabetes Frontier Vol.23 No.6, 729-736, 2012
「はじめに」静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism: VTE)は特徴的な症候を示さない場合も多く診断に難渋する疾患である. わが国における肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism: PTE)の発症後の死亡率は依然高く, 11.9%1)と報告されており, 同時期に報告されている急性心筋梗塞による死亡率7.3%2)を上回るため, 予防と早期診断治療が重要な疾患である. 予防において致死性合併症の発症抑止を行うには抗凝固薬を使用することが最も有用であることに異論はない3)が, 適切に使用しなければ, 出血性合併症が発生し, 予防を優先したがために致死性合併症を発生させてしまう可能性もあるので注意が必要である. VTE発症の危険因子として糖尿病や内分泌代謝疾患はどの程度の危険性があるのかは筆者らの調査した範囲では検討はなかった. しかし, 糖尿病昏睡状態の際に肺塞栓症を発症したという症例報告もあり, 注意は必要である.
「Key Words」静脈血栓塞栓症,肺血栓塞栓症,深部静脈血栓症,画像診断と治療,疾患可能性評価
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