対談
研究とその背景を語る(42)
Diabetes Frontier Vol.23 No.6, 719-728, 2012
春日 本日は埴生内科の羽倉稜子先生をお招きして, 糖尿病の専門家として研究, 診療, 教育に長年携われてきた先生のご経験をお話いただきたいと思います. 羽倉先生は1959年に東京女子医科大学をご卒業されましたが, 卒業後, どうして糖尿病に興味をお持ちになったか, 糖尿病を専門にされた理由からまずお伺いしたいと思います. 「中山内科入局の経緯」羽倉 私が内科に入局したのは50年以上前ですので, 当時は敗戦後15年しか経っておらず, 食糧事情もきわめて悪い時代でしたから, 糖尿病は非常に少なく, そのためか糖尿病に対する関心も興味もありませんでした. 当時女子医大には, 榊原仟先生という心臓外科の世界的権威がいらして, 先天性心疾患いわゆる心臓奇形の患者さんや, 弁膜症の患者さんが全国から多数いらしていました. そして, 医局も全国からの多数のドクターたちで熱気に溢れていました. 私はもともと外科に興味があったので, 活気のある榊原先生の外科に入りたいと思っていました.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。