特集 小児・思春期糖尿病の最近の動向
胎児期および幼児期における環境と,肥満,インスリン抵抗性,2型糖尿病の発生
Diabetes Frontier Vol.23 No.6, 695-699, 2012
「I. 序論」胎児期や乳幼児期の栄養環境が将来, 成人期の肥満, 2型糖尿病, 高血圧や循環器疾患などと関連する疫学研究結果が数多く報告されている1). 同様に胎児期ならびに小児期における環境中の化学物質の曝露が, 成人期の肥満, 糖尿病などの生活習慣病と関連する可能性を示唆する報告も集積されつつある2). ここでは環境を「栄養環境」と「化学物質の曝露環境」に大別し, 胎児期や乳幼児期の「環境」が将来の肥満, インスリン抵抗性, 2型糖尿病の発生に関わる可能性について論じる. 「II. 胎児期や乳幼児期の栄養環境と, 肥満, インスリン抵抗性, 2型糖尿病の発生(表3)-25))」乳児期における栄養環境に関して最も注目される点は, 母乳栄養と人工乳の違いにより, 乳児期の体重増加に差が生じ, それが将来的な肥満に関係するか否かという点である. 母乳栄養による乳児期の緩徐な体重増加は肥満の発症を予防するが, 一方人工乳による栄養や離乳食などの補助栄養の早期導入は乳児期早期の急激な体重増加を助長し, 学童期以降の肥満のリスクを上昇させることが推定されている.
「key words」乳幼児,栄養環境,環境化学物質,生活習慣病
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