特集 小児・思春期糖尿病の最近の動向
小児・思春期2型糖尿病治療の実態と課題
Diabetes Frontier Vol.23 No.6, 690-694, 2012
「はじめに」糖尿病患者数の急増は世界の多くの国や地域で深刻な問題となってきているが, それに伴い小児2型糖尿病患者も近年増加してきている. 1990年以前は, 小児期の2型糖尿病は非常に稀な疾患という概念があり, 主にアジア人やアメリカ原住民にみられると考えられてきたようである. しかしながら, 近年の米国からの報告では思春期年齢発症糖尿病のうち半数近くが2型糖尿病であるとしている1). SEARCH for Diabetes in Youth studyでは2001~2009年にかけて米国で20歳未満2型糖尿病が21%増加したと報告した. その原因として, 生活様式の変化など環境因子による影響が大きいことは明らかであるが, 小児における患者数増加は成人とは異なる面ももっている. 日本では1型糖尿病の発症率が低いこともあり, 思春期発症糖尿病の半数以上が2型糖尿病である. 小児思春期2型糖尿病の大部分は, 男女ともに思春期開始以降に発症する. 診断は学校検尿で尿糖を指摘されて受診する場合が多くを占める.
「key words」2型糖尿病,経口血糖降下薬,メトホルミン,小児肥満,GLP-1
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。