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特集 小児・思春期糖尿病の最近の動向

日本人小児期発症1型糖尿病の遺伝的素因

杉原茂孝

Diabetes Frontier Vol.23 No.6, 654-665, 2012

「はじめに」1型糖尿病は, 膵β細胞が破壊されインスリン欠乏に至るタイプと定義されている. 1型糖尿病の大部分は自己免疫性であり, 1A型と呼ばれる. 自己免疫性が証明されないもの, 病因不明のもの, 特発性のものは, 1B型と呼ばれる1)2). 当初1B型糖尿病と診断されたものの中に, KCNJ11, MODY遺伝子, インスリン遺伝子などの単一遺伝子異常による糖尿病が入っている可能性があり, さまざまな病因のものが含まれると考えられる. 本稿では, 自己免疫機序によって発症する1A型に絞って, 遺伝的素因についての最近の研究成果を報告する. 「I. 1A型糖尿病の発症機序」図1に最近提唱されている1A型糖尿病の発症機序の模式図を示す3). 相対的な膵β細胞量と機能は, 自己免疫反応によって徐々に減少し, レッドゾーン(残り10~30%)に入ると高血糖が持続し, 臨床的に糖尿病と診断されるに至る.
「key words」1型糖尿病,自己免疫性,HLA,疾患感受性ハプロタイプ,疾患抵抗性アレル

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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